当院では2004年より睡眠時無呼吸症候群の診断・治療に取り組んでおりましたが2013年より「睡眠呼吸障害センター」を開設し2015年からは現在県内では唯一睡眠検査専用個室2室をもつ日本睡眠学会の「睡眠医療認定医療機関」に認定され睡眠時無呼吸症候群を中心にさまざまな睡眠疾患の診断・治療に取り組んでおります。
現在当センター受診の患者様の約6割は近隣医療機関からの紹介患者様となっております。新規・初診の患者様も予約診療も可能ですので当院内科へご連絡下さい。
【症状と合併症について】
睡眠時無呼吸症候群とは眠っている間に呼吸が止まる病気です。無呼吸自体で即、窒息死を起こすことはありません。それよりもむしろ、きちんと睡眠を取れていないことなどにより、体がじわじわと侵され、高血圧症や心疾患など生活習慣病になったり、昼間の眠気により、労働災害や交通事故を起こしたりすることが問題視されている病気です。
睡眠時無呼吸症候群の方は、健康な方と比較して高血圧を発症する可能性は2倍、狭心症・心筋梗塞は3倍、脳血管障害は4倍、糖尿病は1.5倍という報告があります。その他にも高脂血症・高尿酸血症の合併も多いことが判明しています。米国のデータでは、睡眠1時間あたり20回以上無呼吸が記録された患者さんは無治療のまま放置すると、9年後には10人のうち4人は心臓病・脳血管障害・交通事故などで亡くなっていたという衝撃的な報告もあります。
【検査について】
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の出来事ですので、検査は入院していただき、睡眠に関する様々なことを測定する終夜睡眠ポリグラフィーという検査を実施します。
測定する項目は睡眠状態を見るために脳波・筋電図・眼球運動図など、睡眠中の呼吸の状態をみるために、鼻の気流とお腹と胸の動き、血液中の酸素の濃度などを同時に記録します。
測定には体にセンサーを取り付けますので、少々わずらわしく感じるかもしれませんが、痛みを伴う検査ではありませんのでご安心ください。
【治療について】
検査後、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、患者さんにあった治療法を選択いたします。
同時に、ご自身で生活習慣の見直しも行うようにしましょう。肥満ぎみの方は運動を、アルコールを飲む方は就寝前の飲酒は控えるようにしましょう。また、睡眠薬などを服用している方は、主治医にご相談ください。薬の中にはかえって無呼吸を悪化させるものがあります。
経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)
就寝時に患者さんの鼻から空気を送り込み、気道を閉じてしまわないようにする方法です。
睡眠時無呼吸症候群の治療法として確立している方法です。
マウスピース
就寝時に患者さんの鼻から空気を送り込み、気道を閉じてしまわないようにする方法です。
睡眠時無呼吸症候群の治療法として確立している方法です。
外科手術
扁桃腺の大きい場合や、口蓋垂(のどちんこ)大きく垂れ下がっている方に向く治療法です。
無呼吸の手術になれた耳鼻咽喉科医にお願いします。
診療方針
当化では睡眠時無呼吸症候群(SAS)を単なる睡眠障害ではなく、様々な臓器に合併症を引き起こし、さらに労働災害、事故をも引き起こす、言わば全身的、社会的疾患として捉えています。すなわち単なる睡眠障害ではなく個人的にも社会的にも重大な疾患と考えます。
SASは、我が国では治療の歴史も浅く社会的な認知度も極めて不十分です。
そこで少しでも多くのSASの可能性のある患者さんの正しい診断と適切な治療を行って行きたいと考えています。
当科では、まず問診や自覚症状でSASの可能性があると判断した患者さんにはスクリーニング検査として指先に酸素濃度を記録できる機具を装着し一晩自宅で寝ていただく検査(パルスオキシメトリー検査)を行い、その結果で就寝中に酸素濃度が低下する方にポリソムノグラフィーを行っています。
当科での治療の第一選択は経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)です。人でも多くのSAS患者さんに適切な治療を受けていただきたいと考えています。
以下に当科における診療の流れを示します。
睡眠時無呼吸症候群の診療フロー
1.睡眠時のいびき、無呼吸を訴え来院
2.問診、診察、検査
3.終夜睡眠ポリソムノグラフィー検査(一泊二日)
検査結果の解析に、一週間ほどかかります。
4.外来で検査結果と今後の治療方針の説明
5.終夜睡眠ポリソムノグラフィー検査(一泊二日)
(治療効果の確認)
6.外来で経過観察(予約制)
病院の取組
チームで支える糖尿病治療
済生会奈良病院では
糖尿病透析予防指導を
行なっています。